「活躍しようと思うな」
長友佑都がオリンピック日本代表に託した金言
リオデジャネイロオリンピックにかける思い。長友、本田らオリンピック経験者からのメッセージ。
■「失敗」を語ってくれた先輩たち
実はこの言葉、今年の1月に行われた、リオ五輪アジア予選を兼ねたAFC U-23選手権2016の大会前に(長友)佑都くんからもらった言葉です。この大会前、手倉森監督が、オリンピックを経験した選手たちにビデオメッセージをもらっていて、それを大会前に選手全員で見ました。
メッセージを寄せてくれたのは、(本田)圭佑さん、(岡崎)慎司さん、(香川)真司くん、佑都くんなど北京大会を経験した選手と、(吉田)麻也くん、(酒井)高徳くん、キヨ(清武)くんなどロンドン大会を経験した選手。3日に分けてビデオを見たのですが、どの言葉もものすごい重みがありました。
圭佑さんは自分たちの代が全敗に終わってしまった悔しさを語ってくれましたし、ロンドン大会にオーバーエイジで出場した麻也くんはそのときの経験を伝えてくれた。そのなかで、佑都くんが、
「力不足もあったけれど、オリンピックという舞台で活躍しようと思いすぎて、自分の力を出せなかった。せっかくの舞台で100パーセントの力を出せないようじゃもったいない」
というようなことを話してくれました。
これを聞いて本当にそうだと感じ、また一方でものすごく難しいことに取り組まなければならないとも思いました。憧れていたオリンピックですから、活躍したいという思いは誰もが強く持っています。でも、だからといってそれで気持ちが高ぶりすぎて自分を見失ってしまっていては、せっかく培ってきた力が出せない。一方で落ち着きすぎてもピッチでは戦えません。佑都くんたちは実際にそういう経験をしてきた、と言うのです。
大きな大会であってもいかに平常心でいられるか。このメンタルコントロールをしっかりとできるかどうか。語弊はありますが、「メダルを取ることをすごいことだと思わない」そのくらいの気持ちで臨む、ということがオリンピックで勝ち進むためにとても重要だと思っています。
同じような言葉は、チームメイトのチュン(李忠成)くんからも言われました。
「日本人は海外の選手をリスペクトし過ぎるところがあるから、ちょっと舐めてかかる、くらいの気持ちがいいんじゃない」
これはチュンくんらしい言い方ですが、佑都くんたちが伝えようとしていたことと似ているのではないかと思っています。
先輩たちからの言葉を胸に、ブラジルのピッチでしっかりとプレーしてきたいと思います。まずは4日、ナイジェリア戦。日本から応援を宜しくお願いします。
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